ベジョータの意味

高級レストランのみならず、スーパーや居酒屋など様々な場所でイベリコ豚の名前を聞くようになりました。ハモン・イベリコとは、イベリコ豚の生ハムのことでスペインにのみ生息しているイベリコ豚から作られる生ハムです。

ハモン・イベリコと並んでよく目にするのがベジョータという単語ですが、一体どういう意味なのでしょうか。イベリコ豚について詳しく解説しながら、ベジョータとは何なのかを見ていきます。

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Contents

イベリコ豚のウソとホント

イベリコ豚とは

名前は聞いたことがあるけれど、そもそもよく知らないという人も多いはず。

品種としては、イベリア種100%純血、もしくはイベリア種とデュロック種を交配させた豚(イベリア種50%以上)のうち、スペイン政府が認証したものをイベリコ豚と言う。
地中海地方に起源を持ち、主にイベリア半島の中央部から南部、スペイン西部からポルトガル東部にかけてみられる。黒い脚と爪をもつ傾向があることから、スペイン語では「黒い脚(pata negra)」とも表現される。

引用元:イベリコ豚 – Wikipedia

イベリコ豚は厳密にはイベリア種という品種で、スペインがあるイベリア半島に起源を持っていることに由来しています。豚と聞いてイメージするものとは少し異なり、蹄が黒く鼻が長いのが特徴です。

「イベリコ豚=ドングリ」は間違い?

イベリコ豚の生ハムが他とは違うと言われる理由の一つに、「ドングリを食べて育っている豚」という事が挙げられます。ドングリを食べる豚は珍しく、味も大変美味しいことから高級品として扱われるようになりました。印象的な特徴が消費者の間にも広がっていき、いつしかイベリコ豚=ドングリというイメージが定着していきました。

しかし、イベリコ豚がドングリを食べて育つというのは実は半分正解で半分不正解です。

ドングリを食べて育つイベリコ豚はごく一部で、むしろドングリを食べない豚が大半を占めています。日本で流通しているイベリコ豚も普通の飼料を食べて育ったものが多いことは想像に難くありません。

ドングリのイメージと併せてイベリコ豚は放牧されていることも有名です。広大な土地をストレスフリーに走り回っている点も特徴的ですが、ドングリと同じくすべてのイベリコ豚が放牧されるわけではありません。ドングリを食べるためにイベリコ豚は放牧され、適度な運動を行うことで肉質が良くなるものの、一方で小屋の中で一生を終えるイベリコ豚も存在します。

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ベジョータとは

ベジョータとはドングリのこと
ベジョータ(bellota)とはスペイン語でドングリという意味で、まさに放牧されてドングリをたっぷり食べて育ったイベリコ豚をベジョータと呼ぶのです。ドングリを食べたイベリコ豚と、ドングリを食べていないイベリコ豚とでは肉質に大きな差が生まれます。もちろん、管理の面を考えても放牧をしてドングリを食べさせることは非常に手間がかかります。

イベリコ豚のランク分け

スペイン国内でもイベリコ豚製品の需要が増え、大小様々なメーカーが製品づくりを行うようになりました。日本でもまだ誤解されていますが、前述の通りドングリを食べたイベリコ豚のみがベジョータというランクに分けられます。需要が増えるにつれ、ベジョータとその他のイベリコ豚との境目がどんどん曖昧になり、消費者が違いを区別できなくなるという事態が起こったのです。ドングリを食べたイベリコ豚とそうでないイベリコ豚は手間も品質も異なるため、値段も変わってきます。消費者の知識不足につけこみ、低品質のイベリコ豚を高く売ろうとするメーカーも出てきました。

そこでスペイン政府は2014年にイベリコ豚製品の品質に関する規定を発効させました。

この規定の目的は消費者に対してイベリコ豚の正しい情報を提供すること、ベジョータなどの呼称に対して誤解を招くことのないように明記すること、ベジョータという単語やロゴなどの記述の管理などが挙げられます。この規定では品質の違いを明確に示すように、イベリコ豚の生ハムは次のようにランク分けが行われています。

  • ベジョータ
  • セボ・デ・カンポ
  • セボ

ベジョータは放牧中にドングリを食べ、イベリコ豚の中で一番ランクが高くて最も価値があります。ベジョータの他には、ドングリを食べず育ったイベリコ豚をセボ・デ・カンポあるいはセボに分類します。放牧の有無と何を食べて育ったかを基準に、ランク分けがどのように決められるかを下の表にまとめてみました。

ランク 放牧
ベジョータ あり ドングリ
セボ・デ・カンポ あり 自然の穀物、ハーブなど
セボ なし 人工飼料

イベリコ豚はおおきくわけてベジョータセボ・デ・カンポセボという3つのランクに分かれます。放牧をされて育つイベリコ豚はベジョータとセボ・デ・カンポで、ドングリを食べて育ったイベリコ豚がベジョータランクに区分されます。

ベジョータは大変希少

下記の表は、ある年のスペインでのイベリコ豚の生産量と、ランクごと(ベジョータ、セボ・デ・カンポ、セボ)の内訳を記載しています。

ランク 屠畜数 割合
ベジョータ 350,000 11.4%
セボ・デ・カンポ 190,000  6%
セボ 2,540,000  82.6%
合計 3,080,000  100%

統計を見ると、全体308万頭のうちベジョータは約35万頭と全体の11%程度にとどまっています。いかにベジョータが希少な存在かを証明しています。

ベジョータになるための条件

ベジョータの特徴
ベジョータランクになるためには、ただドングリを食べれば良いというわけではありません。ドングリによる体重増加、放牧の期間など、決められたいくつかの事項をクリアして初めてベジョータに分類されます。

ベジョータと呼ばれるには下記の条件を満たす必要があります。

  • モンタネーラ開始時のロットの平均体重は92kgから115kgであること※モンタネーラとは放牧期間中にドングリを食べる時期のこと
  • 60日以上のモンタネーラで体重が最低46kg増加していること。
  • 堵畜時の最低月齢は14ヶ月。
  • 枝肉個体の最低重量は115kg(ただし100%純血イベリコ豚の場合は108kg)

この条件を守り、ドングリをしっかりと食べたイベリコ豚以外はベジョータと名乗ってはいけないということを法律で決めたのです。これによりベジョータランクの最低基準が明記され、メーカーと消費者の間に共通認識が生まれました。

また、ベジョータになるイベリコ豚はモンタネーラでの豚の飼育に関して、森林面積に応じて1ヘクタール当たりの飼育数が制限されています。ドングリの摂取量を守り、イベリコ豚が適度に運動を行えるようにするためです。具体的には1ヘクタール当たりの豚の数を、0.25から1.25頭と定めています。

中でもおすすめなのが、100年の伝統を誇るメーカー「アルトゥーロ・サンチェス」のハモン・イベリコ・ベジョータです。アルトゥーロ・サンチェス社のベジョータは通常の倍の期間イベリコ豚を育てることでドングリの摂取量が2倍になっています。とろけるような脂の甘味は他では味わうことの出来ない特別なベジョータの生ハムです。

ベジョータに関する規定の問題点

ベジョータの条件は規定で定められたものの、この規定は精肉の場合には義務付けられていません。

乾燥熟成を経た生ハムであればはっきりとベジョータ、セボなどとランクが明記されていますが、精肉は表示しなくても良いということになっています。もちろん表示する場合はこの規定に則らなければなりませんが、例えばお店などで出される精肉がベジョータなのかベジョータ以外のランクのものなのかは、きちんとラベルに表示されていない限り判別が不可能なのです。

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ベジョータの特徴

ドングリを多く摂取したベジョータは良質な脂を蓄え、特徴的なサシ(霜降り)が入ります。イベリコ豚は筋肉に脂肪分を染み込ませる性質があり、ベジョータランクのものは美しい肉質になります。

ベジョータの脂はオリーブオイルと同じオレイン酸を豊富に含んでいて、健康に良い効果をもたらすと言われています。

常温で溶け出す脂と、ナッツ系の香りがベジョータならではの特徴です。冷蔵庫から出したばかりの冷たいままの生ハムは香りが少なく、そのまま食べても物足りないと感じるかもしれません。1時間程度常温にならしてあげることで、ベジョータが持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

まとめ

ハモン・イベリコ・デ・ベジョータとは、ドングリをたっぷり食べて育ったイベリコ豚の生ハムのこと。イベリコ豚はとても奥が深く、ベジョータ、セボなど様々な種類・ランクの製品が生まれています。作り手ももちろんですが、私たち消費者が正しい知識を持って本当に良い物を見極めていく必要がありそうです。

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過去の記事にイベリコ豚の生態などを詳しくまとめていますので是非参考にしてください。

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